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サイボウズ夫婦が9ヶ月間育休取ってみた!夫婦で取得する育休のリアルをご紹介

少し前から「男性育休」という言葉をよく耳にするようになりました。以前、サイボウズの舞台裏でも ”サイボウズにおける「男性育休取得のリアル」” という記事で、3人のサイボウズ男性社員の育休取得に関するインタビューを公開しました。

本記事では、夫婦ともにサイボウズ社員の2人に「夫婦二人で長期的な育休取得をしたリアル」についてインタビューしました。

夫婦二人で取得することによる「育休中の経済的負担の乗り越え方」「復帰後の仕事の不安」「夫婦で取得する必要性」など、皆さんが気になりそうなポイントについてたくさん回答してもらいました。

本記事の内容が、夫婦で育休取得したいけどなかなか踏み出せない皆さんへの後押しとなると幸いです。



※ 本記事内では、サイボウズ社内での呼称でお二人の名前を表記しています。

育休取得期間の決め方、育休中のお金の悩みについて


Q:育休取得期間はどのように決めましたか?

A(酒本):周りの家庭を見ていて、1週間や1か月では短いなと感じていて、自分が取得する時は3か月程度かなとざっくり考えていました。しかし、日本の育休制度と海外の育休制度の違いを調べていくうちに、こんなにも制度が充実しているのは日本だけ(*1)だと気づきました。住んでいる地域の年齢別の待機児童率なども確認し、結果的に子供もが0歳児入園するまで夫婦ともに育休取得することにしました。

*1:先進国の育休・保育政策などを評価したランキングで世界1位を取得

A(村川):以前から子供ができたら育休は夫婦で取得しようと話していたので、夫婦で取得するものだと考えていました。「妻は育児をして、夫は外で稼ぐ」という考えは持っていなかった気がします。

サイボウズにおける育児休暇平均取得日数

Q:夫婦で育休取得することで、一時的に二人とも収入が減ることになりますが、不安はなかったですか?

A(酒本):貯金するのは諦める前提で、過去の生活費かから育休中にかかる生活費と育児休業給付金を計算したところ、9か月仕事を休んでも全部で100万円足りないだけだとがわかりました。不足分はお互いの貯金や資産を切り崩したり、生活費を切り詰めたら、なんとかなりそうだと思いました。

A(村川):元々貯金をしていたのでそれほど不安はなかったかなと思います。

Q:世間一般からしたら100万円は結構な金額になると思うのですが、それでも二人で9ヶ月間育休を取得しようと思った理由を教えてください。

A(村川):収入が一時的に減ってしまうことよりも、二人で9か月間、仕事をせずに育児に向き合える時間を取れるという方が大切だったなと。
元々、不妊治療を2年半していたので、二人にとって待望の子供でした。そのため、中途半端なことはしたくなかった、やるなら全力で!という気持ちもあったからかなと思います。

A(酒本):育児給付金のおかげで、9ヶ月間を100万円の貯金を切り崩すだけで生活できること自体が、日本では他国に比べて恵まれた環境だと感じたからです。
他国では育休は取れるがお金は支給されないケースや2週間や6週間だけしか取得できないケースなど、男性は日本に比べてかなり厳しいということが調べてわかりました。なので、グローバル目線で考えると日本の育児休業制度はとても充実していると思います。

仕事を長期的に休むことへの不安について


Q:9か月間、仕事を離れることに不安はありましたか?

A(酒本):休むことへの不安というよりかは、育休関係なく今後のキャリアについて悩んでいるタイミングではありました。休むことで自分の働くモチベーションがどう変化するのかわからないことへの不安はありました。ただ、最終的な結論としては、9か月休むことで嫌でも仕事から離れられる=キャリアとじっくり向き合える。と考え、自分の中ではポジティブに捉えました。

Q:育休前に、チームメンバーへの引き継ぎなどで大変だった点、工夫した点があれば教えてください。

A(村川):kintoneでタスク共有アプリを作成していました。施策の内容やマニュアルをアプリにまとめ、私が休みに入ったあとでも困ったことがあれば、そこを見れば解決できる状態にしていました。育休に入るから情報をまとめていたというよりかは、会社の文化的に普段から情報を残すことに慣れていたので、その文化に助けられたところはあるかなと思います。

A(酒本):私は営業職ですが、普段からチームで営業をしていることもあり、常に案件の状況や顧客情報などkintoneのアプリで常に共有していました。なので、休みに入るからといって特段大変なことはありませんでした。ただ、今回PCも会社携帯も一度すべて返却することになったので、会社を辞める前提くらいの気持ちで情報の引き継ぎをしました。

夫婦二人で効率的に。育児休暇中の過ごし方について


Q:世間的には、夫婦二人で育休を取得する必要はないのでは?という意見もありますが、お二人はどのように育休期間を過ごしましたか?

A(村川):最初の3か月程度は二人で模索しながら育児をしていました。徐々に毎日のルーティンが決まり、お互い「一人でも」 基本的な育児はできるようになってきたので、生後3か月くらいからは、育児の担当を曜日制にしてお互いの自由時間を作るようにしていました。

A(酒本):これを聞くと、自由時間作るくらいなら仕事したらいいのでは?という意見も出てくると思いますが、そうではないなと。
初めての育児ですし、お互いわからないことだらけ、また妻は産後まだ身体が完全に回復していないことを考えると、二人で育休を取ることことが必要だなと思います。ただ、ずっと一緒いると喧嘩になったり疲れたりしてしまうので、リフレッシュの時間としてぞれぞれの自由時間が必要でした。

A(村川):お互いリフレッシュの時間ができたことで、穏やかな気持ちで子供に接しられたなと思います。周りでワンオペしている人から、「もっと穏やかな気持ちで育児できたら良かったな。」という話を聞いていたので、その点でも、二人で育休は必要だったのかなと思います。


A(酒本):育児をしていると、二人で生活していた時にはなかったさまざまなトラブルに出くわしますが、それらを一緒に夫婦で乗り越えることによって、絆が生まれると思います。それを一人で乗り越えるのと、二人で乗り越えるのはまったく違ったのではないかなと思います。
育休期間を調べているときに、夫婦仲について言及している記事を見つけました。その記事から、妻の夫への愛情曲線が出産直後に二分することがわかり、ここが夫婦の分岐点になるんだなと。自分の人生を豊かにするには、仕事とかだけじゃなくて、夫婦で過ごす時間も長いから、この関係性が崩れるのは良くないなと・・。なので、子供のためだけではなく、自分の人生のことを考えても夫婦で育休を取る必要性があったなと思います。

Q:育休期間中にそれぞれ復業など行なっていたと聞いたのですが、その辺詳しく教えてください。

A(村川):育休に入るまでは副業などはとくに考えていませんでしたが、育休に入ってお金がどんどん減っていくのを目の当たりにし、副業に興味が出ました。そんな時に知り合いづてで今までのスキルを活かせそうな副業案件をいただけたので、挑戦してみることにしました。結果的に、新しいスキルも手に入り復職後にも活かされたので、とてもいい経験になりました。

A(酒本):元々ブログを頑張りたいと考えていたので、育休に入る前から少しずつ準備を始めていました。ブログを書いていたことによってYahoo!からYahoo!ニュースの地域の記事を書く、地域クリエイターのお誘いがあったり、育休を取得したことで副業の相談が舞い込んできたりと思ったよりいろいろな活動ができました。その他にも、AIの勉強をして、遅れていた知識や興味を取り戻すこともできました。

また、育休前からキャリアに悩んでいたこともあり、キャリアの本を何冊か読んだり、キャリアのセミナー講師の依頼を受けたり、キャリアについて向き合って整理できました。
ゆるい転職活動をすることで、今の会社の良さや自分の市場価値を見つめ直すきっかけとなりました。結果的に復職後もキャリアチェンジで新たなチャレンジをする機会をもらえたりと、育休中の時間が、次のキャリアを後押ししてくれました。

育休復帰後の過ごし方について


Q:育休明け、仕事復帰する際に不安だったことや、復帰後の仕事に慣れるまでに行なったことなどあれば教えてください。

A(村川):私は毎年営業職の新人研修を担当しているため、復職する春のタイミングでの業務がなんとなくイメージできていました。そのため、あまり不安なことはなかったですね。ただ、周りの育休明けの人たちは、時短で戻る人が多い中、私は最初からフルタイムで戻ることにしたので、ちゃんとフルタイムで仕事ができるかが不安でした。育休中にやっていた副業は両立ができるか不安だったので、やめました。
仕事復帰してからは、保育園の洗礼で家庭内パンデミックが起きて、家族全員が睡眠不足になったり、急遽休むことが発生したりしました。家庭事情に理解のあるチームでしたが、自分の状況を共有する仕組みがないことから、申し訳なさで自分の自己肯定感が下がりそうになっていたことはありました。
それを解消するために、kintoneのアプリでチーム内の業務状況やプライベート状況を共有できる仕組みを作りました。
急に休むだけではなく、背景や最近の状況が伝わっていると、周りも事前にサポートしやすいですし、自分も休みやすくなりました。


最後にこれから夫婦で育休取得を検討している方々へのメッセージ


Q:最後に、これから夫婦で育休取得をしようと思っている人たちや、その人たちをサポートする立場の方へのメッセージをお願いします。

A(村川):先ほど夫がいっていた「自分の人生を豊かにするには、仕事とかだけじゃなくて、夫婦で過ごす時間も長くあるわけだから、その関係性が崩れるのは良くないなと・・」正しくこれだなと。夫婦で同じ方向を見て、幸せに人生を過ごしたのであれば、第一子から二人で長期的に育休を取ることも選択肢に入れていただきたいです。上司や周りの人が育休を取った方がいいと推奨してくれる文化がそもそもないと、気持ち的に取りにくいと思います。でも勇気を出して、ぜひ夫婦での取得を前向きに検討してほしいです。

A(酒本):世界一優れた育休制度を使える日本にいるので、使わない理由はない。というか使わないともったいないと思います!夫婦で育休取得する人が増えてほしいですね。

編集後記

「男性育休」というワードを良く耳にするようになりましたが、蓋を開けてみると1週間取得や産後数日だけ取得した。など、なかなか本質的な男性の育休取得にはなっていないケースをよく見かけます。

本記事をご覧になったみなさんには、あらためて男性育休取得=夫婦での育休取得の必要性について考えていただき、多くの方がより良い育児時間を夫婦で過ごせるようになれば幸いです。

サイボウズの舞台裏では今後も夫婦で育休取得した方々を取材し、それぞれの家庭ならではの過ごし方や工夫ポイント、悩みポイントなどを発信していく予定です。ぜひ次の記事も楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。

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