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Interviewコンテンツ サイボウズにおける「男性育休取得のリアル」

男性の育児休暇取得が増えてきている昨今。
しかしながら、取得したくても会社の雰囲気、環境的になかなか取得を切り出しにくい。メンバーから取得したいと言われても、なかなか前向きに送り出せないなど、取得側、取得をサポートする側の双方にとってまだまだ課題が多く残っているテーマだと感じています。
そんな中、サイボウズでは男性育休取得をよく目にします。

本記事では、育休を取得したいけどなかなか一歩を踏み出せない人、取得をサポートしたいけど前向きに送り出せないサポート側、双方にとって参考になる情報を提供できればと思い、実際にサイボウズで男性育休を取得した3人の社員に、取得にあたり悩んだこと、困ったこと、社内のサポート体制で良かったことなど、リアルなお話を伺いました。

Interview1_新卒で入社6年目。1ヶ月の男性育休取得したリアルとは?

まず1人目は、サイボウズに2018年に新卒で入社し、マーケティング本部でエンタープライズ企業向けグループウェアのプロモーション業務などを行なっている浅野 嶺さんにお話を伺いました。

浅野 嶺さんのプロフィール画像。サイボウズ勤務歴:6年目(2018年新卒入社) 所属部署:マーケティング本部 エンタープライズプロモーション部 兼 事業戦略室 所属。家族構成:妻 、子供(2023年6月生まれ)2023年8月から9月まで育休取得。

育児休暇を取得しようと思ったきっかけを教えてください

サイボウズに新卒で入った身からすると、社長の青野さん含め周りの先輩社員も取得している人ばかりだったので、自分もそういう状況になったら取得するのだろうな、と思っていました。なので、今回妊娠がわかってからは取る前提で妻とも会社とも会話を進めていました。

今回1ヶ月育児休暇を取得されていますが、期間はどのように決めましたか?

期間は少し悩みました。周りの先輩社員たちは6ヶ月など長期間取得している人も多かったので、長く取得できるのは前提で自分はどのくらい取得すべきなのか妻と相談しながら決めました。
相談の結果、妻の実家が近くにあること、義両親もサポートしてくれることになっていたので、まずは1ヶ月取得してみて、その後も必要なのか検討することになりました。
実際取得してみて思ったことは、延長せずに1ヶ月で良かったなと。ただその代わりに仕事復帰後は定時で仕事を終えて自分も家事・育児ができる状態にする方が大切だなと感じました。
今後に関しては、妻が仕事を復帰するタイミングでまた大変な時期が来そうだなと思っているので、そのタイミングで時短勤務にするなど仕事の調整をした方が良いかなと思っています。

サイボウズの男性育休取得期間を表現した表。延べ取得人数は57人、取得期間の平均は73日間。

育休取得の開始タイミングはどのように決めましたか?

最初の1ヶ月は妻が里帰りをしていたので、里帰りから戻ってくるタイミングから1ヶ月取得しました。里帰り中も、妻の実家が近かったこともあり、週3程度通っていました。

育休取得にあたり、業務調整などはどのように行いましたか?

早めに休むタイミングを決めていたので、何かトラブルがあったときに誰が対応するのか、自分しか行なっていない業務は誰が引き継ぐのか?をゆっくり調整できたのは良かったなと思いました。
正直、業務を引き継ぐことになった後輩は、追加で新たな業務を対応することになるため、大変だったとは思いますが、積極的に学んでくれたので、その姿勢にとても助けられました。
また、もともとチームの方針として、極端な属人化は避けようという傾向があったので、今回の育児休暇に関係なく2名体制で業務を行ったり、ノウハウのマニュアル化・共有をしていたことは、取得しやすさに繋がったのかなと思っています。

業務の引き継ぎで行なった工夫などはありますか?

元々業務内容を属人化せずに共有する文化があったので、それほど今回の取得のために行なったことは少ないですが、これを機にマニュアル化できてないかった業務などをドキュメント化しました。
また、普段から在宅勤務をしていたので、コミュニケーションをテキストで残す文化があったことも引き継ぎに役立ったなと思います。もともと打ち合わせの議事録は必ずテキストで残していたので、育児休暇から戻ってきた際、自分が休んでいた期間の議事録を確認すればどのようなやり取りがあったのかをすぐにキャッチアップすることができました。

浅野さんの所属チームの月次定例の議事録のスクリーンショット。

育休取得にあたり、サイボウズの制度や支援で良かった点はありますか?

育休取得が決まると人事と面談をするのですが、その面談の時に登録するkintoneアプリがあって、そのアプリに育休取得にあたりやるべきことがリストでまとまっていたので、わかりやすかったです。
リストと合わせて社内のFAQのリンクが貼ってあったりと、そのアプリを見れば育休取得に関してやるべきことが把握できました。
どこまでタスクが進んでいるのか、コメントでフォローもしてもらえるので、不自由なく取得の手続きができました。

育休取得において悩んだこと、困ったことなどはありましたか?

取得することに迷いはなく、特に悩んだこともなかったかなと。取得する上で仕事のノウハウを引き継がなければいけないことはどうしても発生するので、そこは休み期間中に他のメンバーが困らないようにしっかりしなくてはと思いました。
入社してから周りの男性社員が積極的に取得していたのをみていたので、気負いすることはなかったですね。

また、取得する際にkintoneアプリを使って休職の申請を行うのですが、その申請アプリのコメント欄に、所属部署の本部長や人事部の本部長の方から温かいメッセージが添えられていて、ウェルカムな感じで言ってくれるのはすごく取得しやすい空気をつくるのに好転しているなと思い、サイボウズの良い文化だなと思いました。
自分も今後そういう立場になった時に、同じようにあたたかくフォローできるようにしたいと思いました。

最後に、これから男性の育児休暇取得をサポートする立場の方に向けてメッセージをいただけますか?

周りの先輩社員がすでに取得しているかどうかは、男性が積極的に育児休暇を取得するのに大事な要因になるなと思いました。役職がある人が取ったか、マネージャーが取ったかなど、先輩社員が率先して規範を示しているかは、メンバーの立場からするととても重要だなと。

そのほか、育児休暇関係なく、普段から業務が属人化しないようにノウハウや業務を共有する文化を作っておくこともとても大切だなと改めて感じました。思考プロセスも含めてドキュメントに残しておくとか、普段から2名体制で業務を行うとか、ノウハウが共有されるチーム体制、仕事のやり方を作っておくことは、スムーズに育休を取得できる体制をつくるのに大切なのだなと思いました。
あと、実際育休を取得してみて思ったことは、思っていたより大変だったということ、でもそれを実体験できたのは本当に良かったなと。自分が今後マネージャーとかになった時に、メンバーに対して当事者として対応、相談ができるようになれたかなと思います。

Interview2_妻の妊娠を機にサイボウズに転職。2回目の育休取得のリアルとは?

サイボウズの男性育休取得インタビュー、2人目はサイボウズに2021年にキャリア入社し、カスタマー本部にて中小企業向けグループウェアのカスタマーサクセス業務などを行なっている寺田さんにお話を伺いました。

寺田翔一さんのプロフィール画像。サイボウズ勤務歴:3年目(2021年キャリア入社) 所属部署:カスタマー本部  カスタマー戦略部 副部長  兼 カスタマーサクセス部 副部長。家族構成:妻、子供2人(2021年4月生まれ/2023年5月生まれ) 2023年5月〜8月まで育休取得。

2人目のお子さんが産まれた際に育児休暇を取得したとのことですが、1人目の時も取得されましたか?

1人目の時は、サイボウズに転職してすぐだったこともあり、2週間だけ取得しました。元々転職を考えたきっかけも子供が生まれるためだったので、入社後4ヶ月程度しか経っていませんでしたが取得しました。

転職してすぐだと取得したいと言い出しにくかったですか?

そうですね、ただ、入社前にカンブリア宮殿で社長の青野が話していた「子供は将来のお客さんになる。」的な内容が印象に残っていて、転職してすぐではありましたが、会社的には取りやすい雰囲気の会社だろうなと期待はしていました。

サイボウズの育児休業(休暇)取得率を表した表。育休取得率(女性)2021年:95.2%、2022年:100%、育休取得率(男性※「育児休業」の取得のみカウント)2021年:55.6%、2022年:39.1% 育休取得率(男性※休暇を含む)2021年:88.9%、2022年:95.7%。

今回、2人目の育休取得について教えてください。

1人目の時は2週間しか取得しなかったので、2人目が生まれる時はもう少し長く取得しようと考えていました。1人目の時に、生まれてから大体100日目くらいに落ち着いてきていた経験もあったので、今回は3ヶ月取得しました。

2人目の取得はいつくらいから上司や周りのメンバーに相談しましたか?

去年(2022年)の8月頃に妊娠が発覚して、安定期に入る11月ごろに上司に相談しました。ちょうどその時期に給与面談があったので、育休を考慮して給与交渉ができたので、良いタイミングだったなと思います。

2人目の育児休暇取得にあたり、不安だったことや悩んだことはありましたか?

チームリーダーという役割がある中での3ヶ月間の休職は、多方面に迷惑がかかるだろうなと、少なからず影響があったりするだろうなという不安はありました。男性育休が盛り上がってきている昨今ですが、とはいえ私の身近なところでは前例がたくさんあるわけではなく、特殊なことをしようとしている感覚があり、単純に仕事に穴を開ける申し訳なさはありました。
また、ちょうど同じタイミングでチームメンバーの妊娠が発覚し、チームから2人抜けることになってしまうので、自分が取得を諦めるか、取得期間を短くするか悩みました。

ただ、上司から「寺田がいないから業務が止まるということでは、育休とか関係なくチームとして心許ない部分もあるし、いないからこそ開花する能力が絶対にある」と言われ、予定通り、3ヶ月間取得することを決めました。

育休取得にあたり、サイボウズの制度や支援で良かった点はありますか?

復職後に社内の情報をキャッチアップする支援がたくさんあったのがとても助かりました。kintoneアプリで休んでいた期間に社内で起こったトピックをまとめて通知してくれるものがあり、休んでいた期間に社内で何が起きていたのかすぐにキャッチアップできました。また、キックオフやイベントなど動画が残っているので、浦島太郎状態にならずにすみました。

kintoneアプリ「ダイジェスト・レコメンダー」の画面キャプチャ。

業務に関しても、普段から打ち合わせの議事録などをテキストに残しておく文化があったので、特に困ることはありませんでした。

育休取得にあたり、業務調整などはどのように行いましたか?

3ヶ月間休むことを決めていたので、このタイミングでカスタマーサクセスチームのリーダーを変更しました。そのほか、休みまでにやり切る業務、やらなくていいこと(諦めること)を決め、ルーティーンタスクは他の人に任せるなどの業務整理を行いました。
この業務整理によって、今まで後回しにしていたことを、休むまでに絶対にやり切らなきゃ!という少し焦りの気持ちが生まれて、業務の自動化だったり仕組み化だったり、結果的に育休後の業務改善にもつながりちょうど良い機会になったなと思いました。

育休取得前は、なんとなく自分が残業すればいいや。の気持ちでいましたが、育休取得後は、残業を含めて自分の工数を設計するのをやめないと家庭が回らないということに気づき、定時の8時間を凝縮して業務を行う、成果を出すことに意識をむけられるようになりました。

最後に、これから男性の育児休暇取得をサポートする立場の方に向けてメッセージをいただけますか?

まず基本的なスタンスとして、取りたい人が取れば良いとは思っています。全員が全員強制的に取るものでもないかなと。ただ、自分が住んでいるのが田舎ということもあるのか、リトミック教室とかに父親と子供だけで参加すると、周りから「お父さん偉いですね!」とか「今時ですね」とか言われるんですね、まぁ褒められて嬉しいんですけど、若干の違和感があって、横にいるお母さんたちには同じような言葉は言わないじゃないですか。こういった時に、もう少し育児する環境に父親が出て行くことが当たり前の世界になったらいいなとは思います。

あとは、育児休暇関係なく、介護や急に病気になって休まなければいけないこととか、今後会社の人数が増えてくれば様々な事情が出てくると思うんですよね。
男性だから残業込みで長く働ける、という古い考え方をアップデートして、全員が定時間内でいかに早く業務を対応できるかという考え方になると、いざ休みたいという人が出てきた時にも長期休暇を取得しやすくなるのかなと思うので、普段から残業すればいいや精神ではなく、決められた時間でいかに早く、無駄をなくして限られた時間で業務を凝縮して対応できるかという意識を持っておくことが大切なんだろうなと思いました。

Interview3_取得したことで当事者意識が醸成。部長の立場で取得したリアルとは?

サイボウズの男性育休取得インタビュー、3人目はサイボウズに2016年にキャリア入社し、営業本部 パートナー第2営業部の部長 雲岡さんにお話を伺いました。

雲岡純司さんのプロフィール画像。サイボウズ勤務歴:7年目(2016年キャリア入社) 所属部署:営業本部 パートナー第2営業部 部長。家族構成:妻、子供(2023年7月生まれ)2023年7月〜8月まで育休取得。

育児休暇を取得しようと思ったきっかけを教えてください

育児休暇取得は、奥さんの妊娠がわかったタイミングで取ろうと思いました。自分の部署のメンバーでも育児休暇を取る人が増えてきていたので、自分も経験した方が状況がわかって、相談にも乗りやすくなるかなという思いもありました。

取得期間は2ヶ月ということでしたが、期間はどうやって決めましたか?

元々1ヶ月程度取得するか、育児休暇という形ではなく時短勤務にしようかも考えました。しかし、時短勤務だと結局メリハリがつかず、どっちも中途半端になりそうだなと思ったので、奥さんと相談した結果、2ヶ月間取得することにしました。

育休取得にあたり、業務調整などはどのように行いましたか?

取得期間が2ヶ月と短いことと、時間があれば普段できないようなスキルアップのための学習などができればと思い、会社PCは休暇中もずっと使えるようにしてもらっていました。
最初はもっと余裕があって少しくらいはメンバーからのちょっとした相談にのったり、インプットしたりする時間とかあると思っていましたが、そんな時間は全然ありませんでした。

育休中の業務調整で行ったこととしては、正直マネージャーという立場だったからかもしれないですが、それほどありませんでした。日々上長への情報共有や、他チームのマネージャー同士、それぞれのチーム状況を共有しているケースが多かったので、何か問題が発生したとしてもすぐにサポートできる体制が整っていたことも大きかったと思います。

マネージャーの立場として不安だった点や困った点などありましたか?

困ったというか気にした点は、自分がいない間のメンバーの仕事の評価です。ちょうど育休を取得したタイミングで組織が変わり、新人や異動者がくるタイミングだったので、その部分の評価をどうするかは悩みました。
2ヶ月間という短い期間だったこともあり、その間の評価は周りの人に聞いて評価することになりましたが、もう少し長い期間取得するとなった場合はマネージャーを変更するなど、組織的な対応が必要だったのかなと思います。

最後に、これから男性の育児休暇取得をサポートする立場の方に向けてメッセージをいただけますか?

取りたい人が取れる環境を作ってあげることは必要ですが、全員が必ず取らなければいけない!という雰囲気になるのは正直よくないと思っています。ただ、その取りたい人が取れる環境を作るためにも、まずは自分が取得して、取得する人の課題感や困りごとなどを当事者目線で理解できるようになるのが大切だなと思いました。今までも相談に乗ることはありましたが、実際取得してみないとわからないことがたくさんありました。

また、自分はマネージャーという立場だったので、それほど取得することに不安はなかったですが、メンバーの立場であれば、取得後に同じポジションに戻れるか?仕事はあるか?と不安になるとは思います。そうした戻ってくる時の不安をどのように解消してあげられるかが大切だなと思いました。具体的なポジションを伝えてあげることや、その人の役割を明確に伝えてから休みに入ってもらうことで、戻ってきた時の不安を解消してあげることや、役割をたくさん用意しておいてあげることなど、できることを日々行なっていくことが、育休を取得したいと思ったメンバーたちに安心して休みに入ってもらうためにできることかなと思っています。

以上、サイボウズで男性育休を取得した3名の社員のインタビューでした。

編集後記

私自身、11月から産休育休を取得する身で、夫も育児休暇を6ヶ月程度取得する予定です。しかし世の中にはまだまだ取得したくても取得できないという声をたくさん耳にし、今回の記事を執筆しようと思いました。
インタビューを通して、女性・男性と性別かかわらず、今目の前にある仕事を一時中断することになる育児休暇は、何かしらの葛藤や悩みがあったり、周りの協力を得ないと取得しにくい現状があると思います。
この記事が、育休を取得したいけど、一歩が踏み出せない方、メンバーに育休を取得したい人がいるけど、前向きに応援できていないマネージャー層の皆様、人事の皆様など、育児休暇取得に関わるすべての人の参考になれば幸いです。

この記事を書いた人:丸山千尋 CHIHIRO MARUYAMA サイボウズ Officeプロモーションチーム に所属する中、サイボウズの 人事制度や取り組みを世の中に発信したいという想いから、人事広報 チームにも所属。モットーは「自分らしく働くこと」。

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