"勤務時間内"の雑談を推奨する取り組み、サイボウズの「ざつだん班」とは?
「勤務時間内の雑談」について、みなさんはどのような印象を受けますか?
コロナ禍の従業員同士のコミュニケーション不足を受けて積極的に取り組むようになりました!という会社もあれば、業務中の雑談は言語道断で上司や周囲から冷ややかな目で見られてしまう…という職場もあるかもしれません。
サイボウズでは会社として雑談を行うことに積極的で、以前からある「ザツダン」制度に加え、昨年、人事本部コミュニケーション促進チームによる「ざつだん班」という取り組みが新たに実施されました。
この取り組み、自由参加でありながら、なんと参加者は総勢250名以上集まり、私、せながも参加しました。
サイボウズの制度「ザツダン」とは?
2005年頃から、マネージャーとチームメンバーが【勤務時間内】でコミュニケーションをとる1on1のことを称して「ザツダン」と呼ぶところからはじまりました。マネージャーとの1on1とは言いつつも、仕事の話に限定せず、気負わずにプライベートの事やたわいのないやりとりもできるようにと、この名前になったようです。
現在ではマネージャーに限らず、メンバー同士で”ザツダンをする”シーンもよく見受けられ、例えばチームに新しいメンバーが入った時にメンバー同士が勤務時間内でお互いの人柄を知るために話す時なども「ザツダン」が使われています。
そのためザツダンは制度というより、長年定着しているサイボウズらしいコミュニケーションの文化の一つと言えるでしょう。
このように”勤務時間内の雑談慣れ”している企業文化のサイボウズで、昨年7月〜12月の半年間、人事本部コミュニケーション促進チームによって新たに発足されたのが「ざつだん班」の取り組みです。
「ざつだん班」とは?
「ざつだん班」は参加希望の方を集め、毎回固定のメンバーで週に一度15分間の雑談を半年間、業務として続けるというルールのもと実施されました。
班のメンバーは運営チームであるコミュニケーション促進チームによって独自のアルゴリズムで振り分けられ、各班4名程度で結成されました。
コンセプトはこちらです:
班決めのアルゴリズムについて
社内システムの公開データを用いて、以下条件を全メンバー総当たりでスコア化し平均値が高くなる4人の組み合わせを1つの班としました。
• 同じ入社年月ではない (=同期ではない)
• 同じ組織にいない (=同じ本部や部署ではない)
• 同じスケジュールにいない (=業務上の関わりが薄い)
• メンションしあってない (=お互いに連絡を取ることがない)
• 同じスレッドでコメントしていない (=興味関心が重ならない)
この条件で班を組んだことが「サイボウズ流のざつだん班」の重要なポイントですが、会社規模や組織構成次第で条件を減らしても、十分に効果は出るかもしれません。
ざつだん班の効果は?
終了時のインタビューでは回答者205名のうち、94%が「参加してよかった」と回答する、大好評企画となりました。
具体的には以下のコメントが集まりました。
これ以外にも、紹介しきれないほどのたくさんの好評の声が集まりました。
サイボウズでは働く日数や時間、場所が一人一人異なることから、新たな関係性を構築できたことによるメリットに触れるコメントが特に多く集まったように思います。会社命令や強制参加ではないからこそ、安心感も生まれていたようです。
ここからは2つのざつだん班へのインタビューをご紹介します。
「ざつだん班」へのインタビュー①:チーム・ハット
メンバー構成:
・古谷さん カスタマー本部(松山オフィス)
・佐藤さん マーケティング本部(東京オフィス)
・林さん 経営支援本部(東京オフィス)
・黒嶋さん 開発本部(東京オフィス)
Q ざつだん班の最終回ではどんな感想が上がりましたか?
松山所属の古谷さんを除く3人は全員東京にいるのですが、出社頻度がバラバラで月1回、週1回、フルリモートという構成です。集まる機会が無いので、いつか対面で集まりたいね!という話になりました。
Q 業務内/業務外でざつだんの効果を感じることはありましたか?
・私は他部署からデザインなどの依頼をいただいて取り組むクリエイティブチームに所属しています。依頼をいただかない部署の方と話すことは新鮮で、自分のアウトプットが社内にどう影響を与えているのか・どんな受け止め方をされているかを知れてよかったです(佐藤さん)
・自分はフルリモート・キャリア入社し社歴がまだ浅いのですが、ベテラン社員や新卒で入社した方もいたので、昔のサイボウズのことを聞けたのが面白かったです(黒嶋さん)
Q 「業務としてのざつだん班」を取り入れたい他社へのメッセージがあればおねがいします
・仕事上接点がない話題でも、社内でこんなことが起きているんだ!と知ることができたのがよかったです。業務上の直接的な効果ではなくても、知っていると間接的にいろんなインスピレーションにつながったりすると感じるので、おすすめしたいです(林さん)
・マネージャーとしての振る舞いについて悩んでいたとき、他本部でベテランのマネージャーをされている方からマネージャー論を聞けて、救われました。また、普段はミーティング続きなので、切り替えになりました。マネージャー層には貴重な時間だと思います(古谷さん)
・自分と今後接点が生まれる社内のメンバーについて、ざつだん班の参加者がよく知っていて事前に人柄を聞けたので心理的なハードルが下がりました(佐藤さん)
・このままだと退職まで接点が生まれなかったかも知れない社員との関係性ができて、会社の人間や営みへの理解が深まり、視野が広がりました(黒嶋さん)
「ざつだん班」へのインタビュー②:S2M2
メンバー構成:
・森さん カスタマー本部(福岡オフィス)
・白石さん 営業本部(松山オフィス)
・満田さん 開発本部(広島オフィス)
・世永 人事本部(東京オフィス)
Q チーム名はどのように決めましたか?
メンバーのイニシャルから取りました。顔合わせを目的にした第一回のざつだんで、最初の共同作業としてチーム名を決めるというミッションが与えられました。まず共通点を探そうと色々探り合ったものの結局見つからず、ありがちですがイニシャルを並べてみたらSで始まるメンバー、Mで始まるメンバーが2名ずついたのでこのような形になりました。
Q 業務内/業務外でざつだんの効果を感じることはありましたか?
・6ヶ月という長期間だったので仕事が忙しい時期もありましたが、その中でも業務と関係のない者同士が仕事の名目で交流できたのがとてもありがたかったし、息抜きになりました。自分の業務での悩み事を相談できたのはとても嬉しい思い出で、所属本部が違うメンバーならではのアドバイスをいただけて業務に活かすことができました(森さん)
・全員所属拠点が違ったので、出張で班のメンバーのいる拠点に行くことになった時に対面で会えるのが一つの楽しみになりました。出張先で知っている人がいるのが心強かったです(世永)
・業務で間接的にお世話になっているチームの方がいたので、そこに深く知っている人ができたのが嬉しかったです。仕事で困ったときに気軽に頼れる人ができたのが心強かったし、そこから新しい交友関係を広げるきっかけになりそうです(白石さん)
・自分が作っている社内向けシステムの利用者がいたので、利用者さんの話が聞けてよかったです(満田さん)
Q 特に盛り上がった話題はありましたか?
会社が加入している保険が提供している福利厚生の話題が盛り上がりました。旅行で保養所を利用したという話や、テーマパークの割引チケットが当たった、という話は普段プッシュで会社から情報を得ることがないので、貴重でした。クリスマスの過ごし方も盛り上がりました。生のもみの木を飾っている方がいて、その手があったのか!という発見がありました。
Q ざつだん班に参加しての感想
・私たちの班では毎回テーマは決めずに、その日話したいことを自由に話していたので、気負いせず参加できました(満田さん)
・週1回・15分という形だったのがとても良かったと思います。「もうちょっと喋りたい」で終われて、話題が尽きない時間だったからこそ、リフレッシュになりました(白石さん)
・会社規模が1000名以上だと各本部の取り組みなどの情報は目に入っても、そこで働くメンバーのことまでは知る機会がないので、気軽に繋がれることで会社の人のことを改めて知ることができる貴重な機会でした(森さん)
まとめ
サイボウズ社内での「ざつだん班」の取り組みの概要と、参加者の声をご紹介しました。
勤務時間内の雑談については、会社ごとに事情が異なり、是非の分かれるところかもしれません。しかしこの時代だからこそ、共に働く仲間のことを積極的に知っていくことのできる機会を会社主導で提供することで生まれる効果があるかもしれません。
サイボウズと全く同じような結果にはならないにしても、うちでもできそう!やってみたい!と思っていただけたら大変嬉しく思います!
みなさまの会社でも似た取り組みをされたら、ぜひ教えてください。