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障害者向けインターンを初めて開催!チャレンジドインターンシップ2023開催レポート

サイボウズでは数年前から障害者雇用の取り組みを行っており、これまでも採用サイトでの発信をはじめさまざまな活動を行ってまいりました。
そんな中、2023年9月に障害がある学生を対象としたチャレンジドインターンシップを初めて開催することに。

今回の記事では、インターンシップ実施に至った背景や実際にやってみて学んだことなど、担当者の想いを紹介します。


チャレンジドインターンシップとは

障害者手帳をお持ちの24卒&25卒の学生を対象に実施した、就業体験型のインターンシップです。
2023年は9月11日〜15日の5日間、東京オフィスで実施しました。
5月10日より募集を開始し、約2か月間の募集を経て選考(複数回)を行い、8月上旬に参加者が決定という流れでした。
2023年は4コースで実施し、合計5名のインターン生が参加しました。
(社会課題研究コース、財務経理コース、受注センターコース、ワークプレイス改善提案コース)

※インターンシップ特設ページがございますので、詳細は下記をご確認ください


実施に至るまでの想い

これまで、新卒採用においては障害がある学生向けのインターンシップは実施しておらず、本選考でのエントリーシートや面接のみでマッチングを図っていました。
従来の方法でもご本人の経験や価値観を知ることはでき、得られる情報も多くあった一方で、書面や口頭でのやりとりだけではマッチングを判断できない部分もあると感じました。
例えば、社員目線だと面接の場面で「実際どのような仕事をお願いできるか分からないし、どうやったら一緒に働けるのかイメージができない」という意見や、候補者目線だと「サイボウズは自由でいい会社だとは思うけれど、実際にどのような配慮の中で働けるのか分からない」という意見がありました。
上記のような相互理解の課題を解決したいと思い、ここ1~2年ほどは社内でもさまざまな選択肢を視野に検討してきました。
私たち採用チームとしては、「サイボウズの目指す『チームワークあふれる社会を創る』ために、サイボウズというチームに参加できる人を1人でも多く増やすアプローチをしていくべきだ」と考えており、より多角的な視点でマッチングを図れる機会を作りたいと思い、まずは1週間の”就業体験”という形で学生と社員が交流する場を設けることにしました。


実施までの流れ

開催することを決めたのは2023年2月のこと。
インターン実施に向けたプロジェクトを始動し、まずは実施に協力してくれる社内の部署を募ることから始めました。
社内のメンバーは積極的に手を挙げてくださり、開催コースを選出するまではスムーズにいきました。
その後、インターンシップ特設サイト制作においては、障害がある学生が多くアクセスするページとなるためアクセシビリティの確認を念入りに行い、分かりやすく伝わる設計になっているかを社内のサイト制作担当者と何度も確認を行いました。

インターンシップ特設サイトのアクセシビリティへの配慮:イラストや動的デザインを使わないシンプルな設計・音声読み上げツールに対応した設計・色を多用せず、フォントの大きさや区切りを入れて的確にポイントを伝える
インターンシップ特設サイトにおけるこだわり


さらに、インターン期間中に社内のシステムを利用していただくため、インターン生にとっても社員にとっても見やすく分かりやすい導線をつくれるよう心掛けました。

社内kintoneの「チャレンジインターンシップ2023」スペース
社内kintoneの「チャレンジインターンシップ2023」スペース
「インターン生用振り返りアプリ」の画面キャプチャ
「インターン生用振り返りアプリ」の画面キャプチャ

今回の開催コースにおいては、障害があるメンバーと一緒に働いた経験が多いメンバーばかりではなかったので、選考官向けに選考基準や面接で聞く項目のレクチャー会を行い、インターン参加が決まった学生との合理的配慮のすり合わせも丁寧に行いました。
合理的配慮のすり合わせでは、障害がある社員の定着支援を担当する社員(通称ジョブサポーター)がいるので、その方と一緒に検討することでスムーズに情報を整理することができました。

合理的配慮の一例の表
合理的配慮の一例の表

その後、インターン期間中のコンテンツ紹介を検討したり、必要な書類の手続きなどを行ったりして、本番を迎えることとなりました。


実施中のこだわり3選

異なる障害種別の人同士が等しく情報を得られる企画設計

今回のインターンではさまざまな障害特性を持つ学生にご参加いただきました。特に、視覚障害と聴覚障害がある方が同じ場に集まって交流するイベントの設計は工夫が必要で、どのようにすれば全員が楽しめるのか頭を悩ませました…。
情報保障ツールの利用や伝わりやすい話し方をすることは大前提ですが、
・視覚or聴覚情報が無くても楽しめるものを実施
 (今回は会社にまつわる4択クイズを出題。口頭+資料で同じ情報を伝えました)
・「ご歓談タイム」になったら、コースごとに部屋を分けて交流する
・社内で手話通訳できる社員に協力を仰ぎ、会話のサポートをしてもらう
・紙でお渡しするプレゼントがあれば、点字印刷を行う
といった工夫をすることで、楽しんで実りある時間をつくることができました。

会議室に集合したインターン生の皆様
会議室に集合するインターン生の皆様

障害特性を活かした発表スタイル

インターン生が5日間の成果を発表する場において、インターン生の個性も出るような発表形式にしたいと考えました。
例えば、聴覚障害があって発話できないインターン生が発表する際には
・インターン生が事前に用意した口頭共有用のカンペを人事が一文ずつ読む
・それに合わせてインターン生が内容を手話で表現する
といった取り組みにも挑戦しました。
全ての人に等しく情報を伝えることも大事ですが、その人なりの表現を見ることで社員側が相手のことをより知ろうとする意識がより高まったように感じます。

社員の学びも伝える

最終発表会というと、インターン生がこれまでの成果を発表するイメージが強いかもしれませんが、今回はメンターからも受入にあたっての合理的配慮や学びについて発表してもらう時間を設けました。
今回のインターンの学びを参加学生や担当メンターだけに閉じるのではなく、全社の興味があるメンバーに広く知ってもらい、どんな工夫や配慮で一緒に働くことができるかのイメージを持ってもらうことが重要だと考えたからです。
実際に、最終発表会には60名を超える社員に参加いただき、どんな合理的配慮のもと業務を進めたのか、業務を進める中での気づきや学びをシェアすることができました。

最終発表の時の様子
最終発表の時の様子
最終発表の際の「実況スレッド」上での先輩社員の反応
最終発表の際の「実況スレッド」上での先輩社員の反応

開催してみての振り返り

今回開催してみて、やはり実際に一緒に活動したからこそ見えるものがたくさんあると感じました。
特に今回はオフライン開催だったこともあり、出社して顔を見合わせて話すことでオフィスの環境やそこで働く人の雰囲気をインターン生にしっかり伝えることができ、またインターン生の日頃のコミュニケーション方法を知り、一緒に働く上での社内の課題というのも多く見つかりました。
私たちは「チームワークあふれる社会を創る」という理想の実現に向かうとともに、「チームワークあふれる会社」でありたいと思っていますが、まだまだ道半ばです。
今回のインターンでは、さまざまな配慮や工夫をこらすことで選択肢の広がりを感じることができましたが、このインターンの開催を社内の学びとして終えるのではなく、どのようにインクルーシブな世界を作っていけるかについて継続的に考え実行していきたいと考えています。

最後に、「障害者のための配慮」という視点を超えて「ほかの誰かのためにもなる」という視点を持ち続けたいなと感じました。
例えば、情報保障ツールがあることでオンライン接続不良の方が情報を得られたり、指示語を避けた伝え方をするとより多くの人に正確な情報が伝わったりなど。
実は誰かのために配慮したことが、ほかの多くの人のためにもなっていることに気づくと、このような取り組みは今後も広く影響を与えられるものになるのかなと感じます。

この記事を書いた人:平賀実莉(MINORI HIRAKA)2018年に新卒でサイボウズに入社。1年目から採用チームに所属し、2年目の途中から多様性理解促進チームを兼務。少しだけ地方活性化系の複業もやっています。趣味はお笑い鑑賞や釣り、ドライブ(助手席専門)。

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