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サイボウズのキャリア支援で大切にしている3つのこと

「サイボウズの舞台裏」初の連載企画として、サイボウズのキャリア支援の取り組みについて、大切にしている考え方や特徴的な制度についてご紹介していきます。

サイボウズには、社内にグレード(等級)はなく、役職もあくまで役割の一つとされ、本人が望まない人事異動もありません。
これを聞くと、サイボウズは「個人の希望通りにキャリア形成ができる自由な会社」と思われる方もいるかもしれませんが、それは少し違います。

では、どのようにして一人ひとりのキャリアが決まるのかというと、「“自立”したメンバー1人ひとりの選択」と、「チームとのマッチング」で決まります。お互いのマッチングなので、とくに会社で決められたキャリアステップというものがなく、“100人100通り”のキャリアがサイボウズの特徴です。

100人100通りのキャリアに向き合い、支援していく上で、私たちが大切にしていることは大きく分けて3つです。
( 1 )”自立”が大前提
( 2 )キャリアのコミュニケーションをしやすい工夫
( 3 )文化にあわせた制度設計

今回の記事では、これら3つについて詳しく説明していきます。


( 1 )自立が大前提

最初にサイボウズが大切にしている“自立”について、社長の青野が書籍の中で言及していますので、一部抜粋してご紹介します。

「自立という言葉は、自分で立つと書く。自分で選択し、自分で責任を取る覚悟だ。(中略)言い換えると、自立とは、人のせいにしないことだ。」
(青野慶久『チームのことだけ、考えた。』p.91-93)

※サイボウズではCultureの1つに「自立と議論」を定めており、「自律」ではなく「自立」のほうをよく使います。

キャリア支援においても、この考え方を前提にしています。メンバー1人ひとりが”自立”してキャリア選択ができると信じ、人事からは、会社の都合を一方的に押し付けることはしません。

ただ、すべて自分一人で意思決定しなければいけないかというと、そういうことではありません。社内にどのような選択肢があるのかを知らなければそもそも選びようがないですし、一人で決断することが必ずしも本人にとってよい選択になるとは限りませんので、人事やマネージャー、周囲の仲間から助言をもらうことも選択肢の一つです。

さらに、自分では決断できないことについては、「誰かに判断を委ねる」という選択を取ることもまた”自立”です。大切なのは、自分で選択し、その結果に責任を持ち、人のせいにせず受け入れることです。

( 2 )キャリアのコミュニケーションをしやすい工夫

自立が大前提で、1人ひとりが選択し、責任を持つ覚悟を求められますが、選択するためには何かの判断基準が必要になります。そこで社内で共通言語としてよく使われるのが、「モチベーション3点セット」という考え方です。

モチベーション3点セット

モチベーション3点セットは、「やるべきこと」、「やりたいこと」、「できること」で構成され、上の図にあるように、3つの輪が重なったところの仕事ができるとモチベーション高く仕事ができると考えています。

メンバーとチームのマッチングを検討するためには、お互いが情報を社内に共有して、希望や期待を伝えるためにコミュニケーションすることが大切です。チーム側はメンバーに何を期待しているのか、チームとしての「やるべきこと」をしっかり伝える必要があり、メンバー側は、チームの「やるべきこと」を理解した上で、自分の「やりたいこと」や「できること」をチーム側に伝える必要があります。

この3つの輪は、サイボウズ社内では共通言語として認識されているので、例えばチームからメンバーへのフィードバックの際に、

「“やるべきこと”でチームに貢献しながら、少しずつ“できること”を増やしていきましょう」
「将来”やりたいこと”があるなら、まずは”やるべきこと”をしっかりやってチームからの信頼を獲得していきましょう」

のように、自然とこの3つの輪をもとにコミュニケーションできます。

( 3 )文化にあわせた制度設計

メンバーがキャリアを考えるプロセスとして、
A「チームのやるべきこと、キャリアの選択肢を知る」
B「やりたいこと、できることを周囲に伝える」
C「フィードバックを受ける」

という流れがあると考えています。

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キャリア支援チームでは、A〜Cそれぞれのプロセスで利用できる制度づくりに日々取り組んでいます。各制度の詳細は次回以降の記事で紹介していきますが、簡単に各制度の概要を説明していきます。

A「チームのやるべきこと、キャリアの選択肢を知る」

●ジョブボード
異動や兼務を希望するメンバーに向けて、各チームが社内向けにメンバー募集の情報を公開できます。メンバーはチームの「やるべきこと」を知り、気になる募集があれば、カジュアル面談や大人の体験入部の申し込みができます。

●キャリアインタビュー
社内の多様なメンバーに「これまで」と「これから」のキャリアについて、30分〜1時間程度インタビューし、インタビュー動画を全社に公開しています。100人100通りのキャリアとはいえ、他のメンバーがどのようなキャリアを歩んできたのかを知ることは、キャリアの選択肢を広げることになると考えています。

B「やりたいこと、できることを周囲に伝える」

●Myキャリ
メンバーが「やりたいこと」「できること」を周囲に伝えられる制度です。いつ頃どのような仕事に挑戦してみたいのかという希望や取得した資格などの情報を記入できます。

C「フィードバックを受ける」

●大人の体験入部
気になる部署の仕事をお試しで経験できる制度です。体験したい業務によって、1日から3か月まで期間を選べます。異動を考える際に、大人の体験入部をすることで、実務を通してマッチングを検討でき、チームからフィードバックをもらうこともできます。

●ザツダン(1on1)

サイボウズ社内では、”ザツダン”というメンバー同士のコミュニケーションの時間がよくスケジュール登録されています。マネージャーとのザツダンでは、業務の相談だけでなく、今後のキャリアの希望を伝えて、それに対してフィードバックをもらうこともできます。実施頻度や時期に決まりはなく、フィードバックが欲しいタイミングでザツダンを設定できます。

共通

●キャリア相談窓口
「キャリアに関するもやもやを聞いてほしい」「チームマネージャーではなく人事に相談したい」「キャリア支援の制度の使い方がわからない」といった時に、キャリアコンサルタント資格を持ったキャリア支援チームのメンバーにいつでも相談できる制度です。

おわりに

今回の記事では、キャリア支援で大切にしている考え方やいくつかの制度をご紹介してきました。
100人100通りのキャリアに向き合うことは、決して正解のない難しさがありますが、メンバー1人ひとりがより自立して、自分らしく働けるようにサポートしていけることはサイボウズの人事領域の面白さの一つかもしれません。
各制度の詳しい説明や事例などはこの連載で紹介していきます。次回は今回紹介した「モチベーション3点セット」についてさらに詳しくご紹介します。気になる方はフォローしてお待ちくださいね!

〜連載企画 : 「100人100通りのキャリアに向き合う」ということ#1〜

書いた人_石川憂季

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