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社内のD&Iを推進!多様性理解促進チームの紹介

「100人100通りのマッチング」「多様な個性を重視」など、多様性の取り組みについて注目されることも多いサイボウズですが、働き方や福利厚生以外の取り組みはあまりフォーカスされてきませんでした。
今回の記事では、社内のD&Iを推進する多様性理解促進チームができた背景や実際の取り組み、今後の展望などを紹介します。


多様性理解促進チームとは

サイボウズ社員が「多様性の観点をもって、主体的に協働しやすい環境をつくる」ことをミッションに掲げて活動しているチームです。

多様性の観点といってもいろいろありますが、主には「障害」「セクシュアリティ」「ジェンダー」「多文化共生」の4つにフォーカスして活動しています。
「100人100通りの人事制度」という言葉があるように、働き方やキャリアの描き方の側面では柔軟でダイバーシティに富んだイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実はまだまだ社員の意識や行動、制度のアップデートが課題とされている分野もあるのです。特に、私たちが注力して取り組んでいる「障害」「セクシュアリティ」「ジェンダー」「多文化共生」については、当事者が声を上げづらい現状があったり、社会的な構造から来る課題も根深かったりします。
そういった現状をふまえて、正しい知識をインプットしたり、当事者の声を拾ったり、制度を見直したりする役割を担っています。

チームメンバーは総勢3名で、全員がほかのチームと兼務しています。
兼務先のチームはバラバラですが、それぞれが得意とする専門領域があり、お互いの知見を活かしながら活動しています。

発足のきっかけは部活動の立ち上げ

実は人事本部の組織としてチームが発足したのは2019年のこと。
人事本部の組織(多様性理解促進チーム)ができる前に、社内の部活動としてダイバーシティラ部(Diversity Lab)という部活が発足し、社内の啓発活動を行っていきました。
部活動では有志の社員が集まり、主にセクシュアルマイノリティに関する勉強会を自主的に実施していましたが、部活動だと業務外での活動になるため、取り組める内容や準備にかけられる工数がどうしても限られてしまいます。業務としてダイバーシティの推進に取り組むチームがあるほうが、より広い範囲に影響を与えられ、知識や行動のアップデートも促しやすいのではと考え、2019年秋ごろに「多様性理解促進チーム」が発足しました。

※ダイバーシティラ部にまつわる記事はサイボウズ式をご覧ください

活動事例の紹介

これまでの活動の一例を紹介します。

勉強会の企画・運営

・アクセシビリティに配慮した、みんなに伝わる資料作成&発表の仕方(障害の理解促進)
・外部講師から学ぶセクシュアリティ勉強会(セクシュアリティの理解促進)
・ジェンダーギャップの基礎勉強会(ジェンダーの理解促進)

など、年に3~4回のペースでイベントを行っています。
1回あたりの勉強会参加者は70~80名程度。勉強会は基本的に録画もしているので、録画の視聴者を含めれば1回あたり100名程度が内容を視聴しています。全社員向けの勉強会のほか、マネージャーや新入社員向けの研修も行っています。

パワーポイントのスライドで当事者への質問「カミングアウトしてよかったこと/しないほうがよかったこと/してもしなくてもあまり変わらないこと」というものが映し出されており、右側に参加者による匿名チャットのコメントが表示されている
2023年7月に行ったセクシュアリティ勉強会の様子。オフライン+オンラインのハイブリッド形式で実施。

制度の周知、アップデート

・同性婚や事実婚の場合も、結婚休暇や忌引き休暇が利用できることを明示
・SOGIハラ*がパワハラに含まれることを周知

など、全社員が知っておくべき情報をテキストで発信しています。

*…好きになる人の性別(性的指向:Sexual Orientation)や自分がどの性別かという認識(性自認:Gender Identity)に関連して、差別的な言動や嘲笑、いじめや暴力などの精神的・肉体的な嫌がらせを受けること

事実婚・同性婚の場合も特別休暇や慶弔金などの各種制度が利用できることを発信した内容のスクリーンショット
社内発信の一例

ツールの導入

・音声文字起こしツールの導入
・セクシュアリティに関する外部相談窓口の設置

など、社内の困りごとを解決するツールの導入検討にも携わっています。
2021年からは、Cybozu Daysという社外向けイベントにて、社員が登壇する全セッションの内容をリアルタイムで文字起こしする取り組みを始めました。 これにより、聴覚障害がある方やオンライン参加者で接続が不安定な方も内容を正確に把握できるようになりました。

ステージ前に情報保障を担当するメンバーが着席し、PCでシステムの操作をする様子の写真
Cybozu Daysの様子
情報保障に使用したシステムの画面
情報保障に使用したシステムの画面

取り組む際のポイント

勉強会を実施する際のこだわり3選はこちら。

当事者の体験を交えてお伝えすること

当事者ではない方にお話しいただいても知識を身に着けることはできますが、当事者の方から直接ストーリーをお伝えいただくことで、リアルにシーンを想像できます。さらに、社内に当事者がいると、より身近に当事者の存在を感じられますし、勉強会自体の注目度もグッと上がるように感じます。
(実際、これまでにセクシュアルマイノリティの当事者や発達障害がある当事者に登壇してもらい、社内勉強会を実施したことがあります)

社内の状況に合わせた事例を共有すること

一般的な事例を共有すると、「それはうちの会社では起こりにくい。非現実的だな。」という印象を持たれることもしばしば。社員が求める情報をアンケートやザツダンでの情報で把握し、「こういう事例であれば、うちの会社でも起こりそう」というあるあるを想像して、ピンポイントな事例を共有することを大事にしています。
外部講師に勉強会の実施を依頼することもありますが、毎回事例はカスタマイズしてお届けしています!

匿名の実況チャットを活用すること

サイボウズではよく、勉強会の実施中にリアルタイムで質問や感想を投稿する仕組みを活用しています。普段の勉強会では記名での投稿を行っていますが、D&Iの内容は個人の事情に踏み込んだ感想や意見を投稿しづらいというハードルがあります。そのため、D&I関連の勉強会では匿名性のチャットを活用して誰でも気軽に思ったことを書き込める場を設けています。
(上述のセクシュアリティ勉強会の図の右側が実際のチャットの様子です)

どの施策においても大事にしているこだわり

なぜ今、多様性理解促進チームがやるべきかを明確にすること

社内には、多様性理解促進チームと類似の取り組みをする部署がいくつか存在します。なんとなく思い付きのタイミングで施策を行おうと思うと、他の部署で似たような施策を行おうとしていたりすることもあります。そのため、社内の類似チームと定期的に活動状況をシェアしつつ、どのチームが取り組むべきなのか/多様性理解促進チームで本当に取り組むべきことなのかを議論したうえで施策を実行しています。

ターゲットとバリューを明確にすること
どの施策も基本的には全社員向けの施策なのですが、その中でもどんな人にどんな価値を届けたいのかを具体的に定めています。ターゲットが明確でないと、「まんべんなく情報をお届けできたけれど、誰にも刺さらない」という事態になりかねません。そのため、何かを発信する際にターゲットとバリューを必ず共有するようにしています。

施策の目的を社員に丁寧に説明すること

社内では、日々さまざまなチームがさまざまな施策の情報を社内に展開しています。また、D&Iについての関心が高いメンバーばかりとは限りません。そんな中で、私たちの取り組みに興味を持ってもらうためには「そもそもなぜこの施策が必要だと思ったのか」「施策検討者の想い」を丁寧に伝えて周囲の心を動かす必要があります。
施策の宣伝をする際に、必ず目的や想いをセットで伝えるようにしています。

私たちが目指す未来

「多様性理解促進チームが積極的に活動しなくてもよい状態を作ること」。
これが、私たちが最終的に目指している未来です。

現在は多様性理解促進チームが主体的に活動していますが、本来は社員がD&Iに関する知識を自らアップデートし、多様性に富んだチームをマネジメントできるスキルを持てる状態が理想だと考えています。
多様性理解促進チームは、チーム間で解決できない困りごとがあった時や、助言を求められた場合に支援する、というスタンスで活動することを目標に掲げています。

理想の状態にたどり着くためにやるべきことは山積みですが、ただ単に「世間のD&Iの取り組みに則る」だけではなく「サイボウズらしいD&Iとは何か」を考え、チームワークあふれる会社づくりの一助を担っていきたいと考えています。

■この記事を書いた人 平賀 実莉 MINORI HIRAKA  2018年に新卒でサイボウズに入社。1年目から採用チームに所属し、 2年目の途中から多様性理解促進チームを兼務。少しだけ地方活性化系の複業もやっています。趣味はお笑い鑑賞や釣り、ドライブ(助手席専門)。

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